
「寿司屋に行きたいけど、なにをどうやって食べたらいいの?」
お客様からよく聞かれる鮨の疑問。今日はそんな「鮨の美味しい食べ方」についてお話ししましょう。
まず大前提ですが、基本的に食べ方は自由です。お客様にとっておいしく楽しい時間を過ごしていただければ、それだけで寿司屋冥利に尽きるというものです。
しかし、せっかく食べるならもっと楽しみたいという意見もごもっとも。寿司はシンプルな料理ですが、ほんの少し食べ方を意識するだけで、味わいがぐっと深まりますよ。
鮨を食べる順番を意識する
寿司を食べる順番を意識する理由は、味のバランスを大切にするためです。おまかせで出される場合は職人が計算した順番になっていますが、単品で注文する場合は、淡白な味から濃厚なものへ進むのがおすすめです。
寿司はネタごとに味の強さや脂のノリが異なります。
例えば、最初に大トロのような濃厚なネタを食べてしまうと、口の中が脂でコーティングされてしまい、その後に食べる白身魚の繊細な旨味が感じにくくなってしまいます。
また、光物(サバやコハダ)は酢締めされていたり、漬けマグロはタレの味がしっかりしていたりするため、これらを最初に食べると、後に食べる淡白な白身の繊細な味が感じにくくなります。
味の繊細な順番を守ると、鮨をよりおいしく感じることができます。
基本の流れ:
🔹 白身(ヒラメ・タイ) → 繊細な味わいを楽しむ
🔹 貝類(ホタテ・赤貝) → ほどよい甘みや歯ごたえを感じる
🔹 青魚(サバ・アジ) → 酸味やコクが強まる
🔹 赤身(マグロ) → 旨味がしっかりしたものへ移行
🔹 中トロ・大トロ → 脂の甘みを楽しむ
🔹 イクラ・ウニ・穴子 → 最後に濃厚な味で締める
この流れを守ると、口の中に余計な脂や味の余韻が残らず、一貫一貫がしっかりと楽しめます。
醤油のつけ方に注意
寿司を食べるとき、醤油のつけ方ひとつで味の感じ方が大きく変わります。間違ったつけ方をすると、せっかくの風味を損なってしまうことも。
寿司の醤油のつけ方で一番大切なのは、「シャリではなくネタ側につける」こと。
- 手で食べる場合:寿司を軽く横に倒し、ネタの端を醤油にちょんとつける
- 箸で食べる場合:寿司を箸で優しく横に持ち、ネタ側を下にして醤油につける
特に光物やマグロは醤油を吸いやすいので、ほんの少しだけつけるのがポイント。
シャリは水分を含みやすく、醤油を吸いすぎてしまうため、シャリ側に醤油をつけると味が濃くなりすぎたり、シャリが崩れる原因になってしまいます。
また寿司をべったり醤油につけるのも、ネタ本来の味が醤油に負けてしまい、寿司の繊細なバランスが崩れるため要注意。
うにやいくらの軍艦巻きは、ガリを醤油に軽くつけ、それを軍艦の上にそっとなでるようにつけると◎。
※職人が「このままどうぞ」と言った場合は、すでに最適な味付けがされているので、醤油は不要です!お店によって寿司にすでに適量の醤油や塩、煮きり(甘い醤油ダレ)が塗られています。ぜひそのまま、お店のこだわりを味わってくださいね。
ネタによっては醤油以外の味付けを楽しむ
寿司=醤油というイメージがありますが、寿司は醤油だけで食べるものではありません。ネタによっては他の調味料や薬味で食べたほうが美味しさが引き立つものもあります。寿司職人はネタごとの個性を最大限に活かすため、塩や柑橘、ポン酢、タレなどを使い分けています。
1. 塩+柑橘(すだち・レモン・ゆず)
醤油よりも素材の甘みや旨みを際立たせ、柑橘が加わることでさっぱりとした後味に。
- ヒラメ・マコガレイ・タイ → ほんのり甘みのある白身魚は、塩で旨みが引き立ち、柑橘で後味が爽やかに。
- イカ(スミイカ・アオリイカ) → 塩で甘みが増し、すだちや柚子で上品な風味がプラスされる。
- 車海老・ボタンエビ → 茹でたエビは塩で甘さが引き立つ。
2. ポン酢+薬味(ねぎ・もみじおろし)
ポン酢の酸味が脂をさっぱりさせ、薬味と合わせることで味に奥行きが生まれます。
- カツオのたたき → 醤油よりもポン酢が合い、ねぎや生姜と合わせると風味が豊かになる。
- サンマ(秋限定) → 脂ののったサンマはポン酢でさっぱり。おろし生姜と一緒に。
- ハモ(夏の旬) → 湯引きしたハモはポン酢との相性抜群。
3. 煮きり(甘めの醤油ダレ)
甘い煮切りは醤油よりもまろやかで、ネタ本来の味を引き立てます。
- 漬けマグロ → 江戸前寿司の伝統。マグロを醤油ダレに漬けることで旨みが凝縮される。
- 穴子 → フワフワの穴子には甘めのツメ(煮詰めダレ)がかかっているため、そのままで美味しい。
- 煮ハマグリ → 貝の甘みと煮詰めダレの旨味が絶妙なバランス。
4. 山葵(わさび)単体で楽しむ
ネタの旨みを引き立てつつ、余計な味を足さないシンプルな食べ方。素材の味がダイレクトに伝わります。
- 大トロ・中トロ → 脂が多いトロは、わさびだけで脂の甘みを引き出せる。
- 赤貝・鳥貝 → 貝類の甘さと磯の香りを楽しむには、わさびだけで十分。
- 淡泊な白身魚 → 醤油なしで、ネタ本来の味をシンプルに楽しむのもおすすめ。
おまかせで職人のベストな流れを楽しむ

カウンターで「おまかせ」を頼むと、職人がその日のネタの状態を見極め、一番美味しく味わえる順番で提供してくれます。これは、ただネタを並べるのではなく、「食べたときの感動が最大になるように」計算された流れです。
やまけんでは、ご予算や用途によってさまざまなコースをご用意しており、そのどれもがその日一番お客様に食べていただきたいネタを職人が厳選しております。
~【季節のおまかせコース】-雅 みやび- ある日の一例~
(※季節・仕入れにより内容が異なります)
・季節野菜のサラダ オニオンドレッシングを添えて
選りすぐりの季節野菜をさっぱりとした自家製オニオンドレッシングで。
・季節のおすすめ前菜 小鉢三種盛り
季節の移ろいを色彩豊かに表現した前菜三種。
・本マグロ ボタンエビなどの季節の造里四種
素材が持つ味わいと鮮やかな色合い。季節感を存分にお楽しみください。
・やまけん厳選 特選おまかせ握り三貫
素材の味が際立つ白身魚を中心に、塩でお召し上がりいただく逸品です。
・鮮魚のアクアパッツァ
厳選した鮮魚と彩り鮮やかな野菜の旨味が溶け合うハーモニー。
寿司屋の魂とイタリアンの技の融合をお楽しみください。
・江戸前の仕事が冴えるおまかせ握り三貫
厳選した魚介のみを使用したおまかせ握り。
職人の技が光る一貫は、まさに口の中で溶けるような味わい。
・フレンチシェフ直伝シュリンプグラタン ウニを添えて
フランス料理の粋を集めたシュリンプグラタンです。
口溶けの良いウニをくわえ旨味を一層引き立てます。
・ふっくらと炊き上げた穴子にぎり
穴子の深い味わいと柔らかな食感が楽しめる究極のにぎり寿司。
熟練の技で炊き上げた穴子はまるでお口の中でとろけるようです。
・お口直しの玉
・香の物
・雲丹と本鮪のこぼれ盛り手巻き のりの舞
高級食材である雲丹と本鮪を贅沢に使用した手巻き。
海苔の香ばしさと共に、濃厚な味わいが絶妙なバランスで広がります。
・味噌汁
・デザート
寿司はただ食べるのではなく、「味のリズム」を楽しむもの。
順番を意識するだけで、もっと美味しく感じられます。
ぜひ一度やまけん流のリズムを味わいにきてください。